数学基礎論入門 (基礎数学シリーズ)この本の大きな特徴は、何と言っても、
第一不完全性定理のゲーデルの証明を、
丁寧かつ厳密に紹介しているところであろう。
第二不完全性定理の証明については、アウトラインだけが述べられている。
土台となる論理体系は、高階述語論理である。
特に、理論体系の表現可能性・原始帰納的関数
に関する記述がしっかりしているので、
不完全性定理において、何が本質的なのかが、
読んでいて、把握しやすくなっている。
故・前原昭二先生が、数学基礎論の達人と言われた所以が、
よくわかる名著である。
蛇足:本書と同程度以上に第一・第二不完全性定理を
詳しく紹介している本として、
梅沢敏郎著「記号論理」が挙げられる。
梅沢先生の本での定式化は、本書によるものとは、異なっている。
しかし、第二不完全性定理の証明については、梅沢先生の本のほうが詳しい。
ただ、残念なことに、梅沢先生のこの本は現在は絶版らしい。
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