鍼灸の挑戦―自然治癒力を生かす (岩波新書) 最近腰痛で鍼に通い出したので,ふと本屋で手に取った。最初はおもしろかったが,どこそこのある先生は○○という技術を持って××という症状を治療したという「お話」が列記されているのみで,岩波新書に期待するような合理性にはほど遠い(失敬!)。ただ,筆者自身もそれを自覚されているようで,EBMについて鍼灸業界での挑戦についても紹介している。
ともかく,全体的に逸話的で,鍼灸についての体系的な記述に欠け,途中で読むのに飽きた。もう一つの印象は,こうした本が評価(業界誌で受賞)をうけるということは,この業界自体に基準となる評価がなく,知的体系が形成されていないことを示唆しているのではないだろうか。
|