ほんとうの環境問題養老孟司、池田清彦である。両者の著作はよく読むので、もうこれは楽しみでしょうがなかった。環境問題について語るのに「楽しみだ」というのは若干変な話だが。
武田邦彦氏が『環境問題はなぜウソがまかり通るのか』という本を出していて、それを自分も読んだことがあったが、読んだのは遠い昔だったので、具体的な内容がなんだったか曖昧だった。そこで、復習しようということで今回の本を選んだ。そういう気持で読んだので、この本はとても目的にかなったものだった。
環境にやさしいと言われているものを買おうとすると、結局は大量消費になってしまっているという指摘は、地球温暖化の原因はCO2ではないかもしれないと言う人とよく一緒に出てくると思う。環境にやさしいものを買うとなぜ環境に悪いのかというところが、普通にわかりやすい。いや、わかりやすいというか、その事実自体、普通に考えれば納得するものであるのも確かである。極当たり前のことを説明しているに過ぎない。ところが、そういった指摘は、言われるまで気がつかないのである。環境問題の背景にある政治性だって、言われれば納得するし、言われなければ気がつかない。自分はこういう話を聞いたときは、頑固に反論するよりも、「へー!そういう考え方もあるのか!」と反応する本なので、視野を広げると言う意味でかなりいい本だと思う。
はてさて、日本ができることはなんであろうか。日本には効率のいい設備があるのだから、その技術を後進国に伝えると言うのが立派な貢献であると思われる。
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