むし歯ってみがけばとまるんだヨ―削って詰めるなんてもったいない! 著者は、本書上梓現在20年に亘って、杉並区保健センターで検診専門の歯科医として勤務を続けている。
本書はそれ以前の、虫歯であれば何でもかんでも削って詰めるとの、今も殆どの歯科医で行われている方法を反省し、進行が止まっている虫歯(花まるむし歯と筆者は呼ぶ)は削らずに、日常の歯磨きで手入れして治す方法に改めたと書いているだけあり、今も医療界を覆うパターナリズム(温情的父権主義)から脱却し、患者側からの視点で診察・指導し、まとめられている。
どの歯に虫歯ができやすいか、歯の磨き方、歯の健康を保つための食生活、不正咬合(縄文人と比較すると、現代人は歯が舌側に傾斜しいるとのデータ、全体の67.9%が不正咬合の疑いがある矯正歯科医会の調査データより、いわゆるしゃくれの人が目立って見えるようになったとの、最近の私の感想も的外れではないと思った)等、子どもの保護者向けの内容になってはいるが、大人が読んでも、花まるむし歯や、歯が黒色色素産生菌で茶渋がついたように黒くなっている人は、ミュータンス菌を抑えるので、虫歯になりにくい、良い歯科医の選び方等ためになる内容となっている。
虫歯を放置すると、内臓疾患など多くの病に発展するとの情報も散見されるようになっている事もあり、子どもの頃から歯のケアを身につけさせるのは、躾同様保護者としての責任とも言え、その為に本書は、営利目的でないない立場から、真に患者に良い予防・治療の視点から書かれた数少ない良書で、読者の役に立つに違いない。
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