できるWindows2000 Professional???進化し続けるDTMツールの中でも、古くから愛用者の多い「Cubase」シリーズの最新版、SXの公認解説書。グラフィカルなインタフェースの図版を多用し、「Cubase・SX」の基本的な機能を手取り足取り教えてくれる。一般的な解説書やマニュアルでは、仕様を説明するために基礎知識から解説していくことが多く、そのためなかなか製品に触れる段階までたどり着かないことが多いが、本書では、「ビートを極める」「旋律を極める」など、目的を設定し、その中で機能や操作のコツを解説していくので、知らず知らずのうちに「Cubase・SX」を理解することができる。 ???Chapter0で、主な新機能や「Cubase VST」からの変更点、スペックなどに触れた後、Chapter1からいきなりリズムパターンの作成に入る。Techno、Trance、HipHop、R&B、BreakBeatsなど、11種類におよぶリズムパターンの中で、MIDIによるオーソドックスな作成法から、サンプリングデータを使用したリズム作成法、リバーブなどのエフェクトまでを解説する。Chapter2ではベースライン、Chapter3では旋律の作成を行い、VSTの使用方法などを学ぶ。 ???Chapter4では「設定を極める」として、フェーダーやクオンタイズ、ドラムマップなどの設定、Chapter5ではプロジェクトウィンドウや各種エディタの使用法を解説する。Chapter6ではVSTエフェクトプラグイン、Chapter7ではVSTインストゥルメンツについて解説する。いずれも、サードパーティ製の製品についてコメントが加えられている。最終章のChapter8は、新機能のVST SYSTEM LINKについて解説する。これは、複数のPCを双方向に接続するしくみだが、2台のPCという最小限の構成を前提に実例を解説している。 ???ソフトウェア自体がこれだけ多機能化、高機能化してくると、全機能を解説することはむしろユーザーにとっての敷居を高くするだけなのかもしれない。大多数のユーザーは、全機能を把握するよりも、まずは「使える」ようになることを望んでいるはずだ。本書は、Cubase・SXを「使える」ようになるための最短距離を示してくれる。(大脇太一)
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